近年多くの人が耳にすることの増えたであろうオーバートレーニング症候群とはなんなのでしょうか?実は真面目に競技に打ち込んでいる人ほどなりやすいのです。
厳しいトレーニングが長期間続くことによって疲労が徐々に蓄積し、回復できなくなった慢性疲労状態のことを指します。本来のパフォーマンスを発揮できなくなるだけでなく、日常生活でもが倦怠感があったり息切れしたり、食欲低下、体重の減少などの身体的な症状と、不眠や不安感、集中力低下などの精神的な症状が現れます。
オーバートレーニング症候群には明確な基準がなく、監督やコーチなどスポーツ指導者に相談しても体調が悪いだけや精神的に疲れているだけなどと言われ、あまり深刻にとらえてもらえないことがあります。本気で競技に打ち込んでいる選手ほど、こういった症状が出てきた際に調子が悪いのはコンディションが低いのが原因であると考え、さらにトレーニングに積んで悪循環に陥りやすくなります。
真面目で練習熱心な選手や、プロを目指していてタイムリミットを強く意識しすぎている若い選手が陥ることの多いオーバートレーニング症候群。トレーニングのし過ぎなどによるパフォーマンスの低下だけではありません。精神的ストレスにより、ホルモンのバランスが崩れることによる自律神経のバランスの不調が関係しているとも言われています。
オーバートレーニングの進行の仕方はまず、運動中の筋肉のエネルギー代謝効率が悪化することにより、筋肉が障害されます。次に、循環動態や呼吸、血管内皮などの機能低下などにより息切れ、動機、めまい、疲労感などが出現します。さらに免疫機能の低下(風邪が治りにくいなど)、自律神経系の不調(立ち眩みなど)、ホルモンバランスの障害など多彩な障害が見られるようになります。より進行すると、不眠や抑うつ状態など、メンタルの不調も出現します。重症になるほどトレーニングの減量・中止期間がのび、競技復帰が不可能になることもあります。早期に発見し対応することが必要です。