強い海外選手は日本のレースで結果を出せるが、

国内で強い日本人は欧州でほぼ通用しない

その理由と対策を小林海が解説

 

 日本国内で結果を出し、欧州へ挑戦する。これまで当たり前とされてきたパターンではあるが、なかなか満足するリザルトを得ることはできないし、実際に成功した選手は少ないはず。そう語るのは国内外トップクラスのレースで経験を積んできた小林海だ。その理由と対策を彼のシーズンを振り返りながら語ってもらった。

 

小林海(マリノ)カメレオンバイクフィットネス管理栄養士付き

――今年を振り返ってどのようなシーズンを過ごしましたか

僕はムラっ気がある選手でして、毎シーズンのようにとても走れるタイミングがあれば、全く走れない時もある。一方、今年はその度合いが少なかったと思う。理由はフィジカルのベースを上げることができたから。

 コロナ禍において、レース数が少なかったり、大会の開催が不安定であることはモチベーションを維持する面からしたらマイナスです。しかし、長いステージレースもなかったですし、それに伴う移動も少なかった。比較的プラン通りにしっかりとトレーニングを実施することができたので、全体的にパワーやスタミナの底上げができたと思っています。計画的なトレーニングプランの実行はフィジカルを向上させるうえで不可欠だと思います。

――シーズン前半はJPTで優勝しましたし、活躍が目立ちましたね。後半も好調が続いていたのでしょうか

 シーズンを通して波が少なかった、とは言いましたが、実は交通事故で怪我をしたり、軽微な故障をして痛みを抱えてたり、ちょっとしたトラブルがあり、後半は良いところを見せれずだったかもしれません。大崩れはしていないのですが、もう少し結果を残したかったですね。シーズンラストの全日本選手権は途中まで上手くまとめて走っているなと思っていたのに、自分でも意外なところで遅れてしまった。油断していたのかもしれませんね。

小林海(マリノ)カメレオンバイクフィットネス管理栄養士付き

――すでに来年を見据えたトレーニングを実施していると思います。どのような取り組みを行なっているのでしょうか

 来年はピーキングをします。今年は本当にレースが開催されるのかわからない状態でしたので、全体を通して8割の仕上がりをキープしていました。ですが、来年はJPTだけでなく国内外のUCIも通常通り開催されることが多くなるはず。4、5、6月にがっちりとピークを迎えられるようにトレーニングを実施します。チームも欧州のレースに遠征に行くかもしれないので、そこで結果も出したいですね。

 

プランの内容としては、日本のレースに合わせたトレーニングをするつもりは全くありません。海外で強い欧州の選手が日本のレースでも結果を出すことが殆どですよね。一方で、日本のレースでいくら強くてもなかなか欧州で結果が出ない。こうしたケースがこれまでに多かったと思います。日本の短距離高強度&サーキット型のレースが多いのが特徴ですが、海外はクリテリウムはあれど微妙に性質が違うし、距離や時間が長いのが特徴で求められていることが異なっているからです。

 

 欧州を意識したトレーニングを実施することで、向こうのレースに対応する準備を進めつつ、国内のレースでも求められる走り方を実施しなければなりません。僕は前者をメインにトレーニングしますが、後者はレース本番で能力を伸ばせていければいいかなと思っています。どちらも蔑ろにせず、相乗効果を生み出していきたいですね。

 

 そのため、僕は欧州のコーチに遠隔で指導してもらっています。欧州基準の練習をしつつ、国内のレース環境のメリットを最大限得たいと思っているからです。いずれ、国外のレースを走ることになっても体が出来上がっているはずです。

 

日本の若い選手たちも、海外で走ることを目指すのであれば、国内環境の利点を活かしつつ、本場のトレンドを知っているコーチに指導を受けるべきだと思います。両方のいい点を得られますからね。優秀なコーチは日本でも数人は居ますし、カメレオンバイクフィットネスのようなオンラインコーチングサービスを利用することも手ですね。方針を決めて、欧州を走る準備をすることが大事なのです。

僕は再び欧州で走ることを目指しています。ブレないように来季も取り組みたい。

カメレオンロードバイクトレーニング

 

小林海(マリノ)カメレオンバイクフィットネス管理栄養士付き